コイルのリアクタンス

コイルのリアクタンスとは?

コイルのリアクタンスの概要

コイルの成分はインダクタンスと呼ばれており、電線を円形に何回もまいたコイルの電気的な性能を表す言葉です。実際のコイルはただ単に円形に電線を何度も巻いたものだけではなく、鉄やフェライトなどの磁性を高める材料(コア)に巻き付けられたものがあります。またその他に2つの巻き線を利用したトランスなどもインダクタンスになります。

このインダクタンスの成分から、コイルのリアクタンスと呼ばれる値が求められます。インダクタンスは電圧に対して電流を90°遅れさせる性質があるのですが、インダクタンスから求められるリアクタンスは電流を90°遅れさせるときにどれだけの電流の大きさで押し戻すかを抵抗と電圧から電流を求める様に、リアクタンスと電圧から押し戻す電流の大きさを表現できる様に疑似的な抵抗の様な意味合いを持たせた成分イメージして頂ければわかりやすいかと思います。

インダクタンスの場合には電流を押し戻す強さとなりますが、キャパシタンスの場合には逆にこのリアクタンスが負の値となりどれだけの大きさで電流を90°進めるかを表すことになります。

もうすこし詳しくコンデンサの特性やその他コンデンサについて勉強してみたいと言うかたはこの本を参考にしてみて下さい。素子の構造や動作原理,応用回路例,使用上の注意といった実用的な内容から実際に回路の設計や専門的な計算に関わる応用まで分かりやすく解説されています。

誘導性リアクタンスの計算式EXCELをダウンロード

このページで紹介する誘導性リアクタンスの計算式のプログラムをエクセルの標準モジュールへ記入し、関数として使用できるフォーマットにしました。下記よりダウンロードいただけますのでご利用下さい。2次配布、改変等も問題御座いませんのでぜひお役だて下さい。

コイルのインダクタンス

ここで抵抗の電気的な機能は一般的によく聞くことのある「\(R[Ω]\)(オーム)」の単位で表され、またコンデンサの電気的な機能は「\(C[F]\)(ファラド)」の単位で表される様に、コイルはインダクタンス「\(L[H]\)(ヘンリー)」の単位で表されます。コイルを流れる電流を変化させたときに磁束が発生します。磁束とその磁束を生じさせている電流との比がインダクタンスとなります。

コイルによる電圧と電流の関係

コイルによって電流が押し戻されているイメージと言いましたが、実際にはどの様なものであるか、下記にもう少し詳しくその電圧と電流の関係性を示しておきます。下の図はサイン波形の電力なのですが、コイルのインダクタンスにより電流の位相が90°遅れている場合の図です。

この電流の遅れはコイルだけであれば90°なのですが抵抗と組み合わせて使用することによってインダクタンス「\(L\)」や交流の周波数に依存してその回路全体の遅れの角度が変化してきます。
上記を踏まえたうえで、コイルから出てくる交流電圧\(V\)と電流\(I\)の関係は下記の様な式で表現することができます。
$$I = {V \over j \times ω \times L}$$

上記の式は電圧と電流のみではなく、その位相を含めて表現した形となります。この場合発生している電流の位相は電圧に対して90°ずれている状態となっています。

変数詳細
\(I\)電流[\(A\)]
\(V\)電圧[\(V\)]
\(j\)虚数(今回の場合位相というイメージ)
\(π\)円周率\(≒3.14\)
\(f\)周波数[\(Hz\)]
\(ω\)角速度[\(rad/s\)]\(=2×π×f\)
\(L\)インダクタンス[\(F\)]

コイルのリアクタンスと抵抗の違いは?

上記の式を電圧\(V\)と電流\(I\)の比をとるかたちに変形すると下記の様に変形することができます。
$${V \over I} = {j \times ω \times L}$$この時の電圧\(V\)と電流\(I\)の比である「\(V/I\)」がリアクタンスと呼ばれています。このページの上部で疑似的な抵抗と表現しましたが、それはどういうことでしょうか。

ここで式を見ていただければわかると思うのですが、電流と電圧の関係が、通常のオームの法則「\(V=RI\)」つまり「\(V/I=R\)」と同じ形となっていることがわかります。

この\(ωL\)は電気抵抗を表す「\(R\)」と似た様な意味をもちますが、実際は電流、電圧と位相が90°ずれた状態を含めた疑似的な抵抗を表し「\(X\)」の記号が用いられ、単位は抵抗と同じ「\(Ω\)」を使用します。ただしあくまで疑似的な抵抗を表しているため、抵抗の様に実際に電力を消費することはありません。

この疑似的な抵抗を通常の抵抗と区別するため虚数で一般的に表されます。なぜ虚数をもちいるかと言うとこれは位相のみを表しており実際の抵抗と組み合わされて初めて意味を持ちます。抵抗に流れる電流に対してどれだけ電流が遅れて発生するか位相は角度で表されるため、360°までしかありません。このためベクトルで計算すると都合がよく、そのベクトルでの計算は虚数で表すことによって簡単に行うことができるためです。

コイルのリアクタンスと計算式のまとめ

コイルのリアクタンスは誘導性リアクタンスともよばれていますが、その誘導性リアクタンスであることを分かりやすくするために「\(X\)」に「\(_L\)」をつけて区別することが多いです。ここでこれまでのまとめとして誘導性リアクタンスの計算式を記載しておきます。

変数詳細
\(X_L\)誘導性リアクタンス[\(Ω\)]
\(Z\)インピーダンス[\(Ω\)]
\(R\)抵抗[\(Ω\)]


とすると\(X_L=ωL\)となります。そして通常、インピーダンス「\(Z\)」は\(Z=R+X_L j\)の形であらわされ、誘導性リアクタンス(コイルの場合)にはこの「\(X_L\)」はプラスの符号となります。

誘導性リアクタンスの計算プログラム

誘導性リアクタンスの計算を簡単に行うことができる様にコードを作成しましたので参考までに掲載しておきます。

変数詳細
L1コイルのインダクタンス[\(H]\)
HZ交流の周波数[\(Hz\)]

EXCELの標準モジュールへ下記をコピペしていただくとエクセルの関数として利用頂けます。

Public Function lreact(L1 As Double, HZ As Double) As Double
	If L1 <= 0 Then
		lreact = 0
	ElseIf HZ <= 0 Then
		lreact = 0
	Else
		lreact = 2 * System.Math.PI * HZ * L1
	End If
End Function

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