表皮効果

表皮効果(SkinEffect)とは?

表皮効果の概要

導体に交流の電流を流したときに現れる現象なのですが、流す電流の周波数が高くなればばるほど導体の中心部分には電流が流れにくくなって行き、電流が導体の表面を流れる様になります。この現象が表皮効果と呼ばれています。

なぜこの様な現象が発生するかと言うと、交流電流による電磁誘導の作用によって生じるもので周波数が高ければ高いほど、また導体の電気抵抗率が低ければ低いほどこの現象は顕著に現れてきます。

表皮効果の特徴

下の図は導体へ交流電流を流したときに表面にのみ電流が流れる表皮効果のイメージです。図の中で灰色で表している部分は電流が流れている部分ですが、白い部分は電流が流れにくくなくなっている部分を表しています。

このことから分かるのですが、高周波電力を導体へ流す場合には、より多くの電力を流したいと思ったときには、配線を太くしても放熱が良くなるかもしれませんがあまり発熱や耐電流を得られる効果はありません。それよりも導体の中を空洞にしたり配線を平たくしたりすることで表面積を大きくすることが必要になってきます。

またこのことより、高周波電力を流そうとするときには単純に抵抗値を求めることはできず電流がながれる部分とその電流、また詳細に計算をする場合にはその発熱によって変化する抵抗値までもを計算する必要があります。

表皮効果の発生理論

表皮効果は通過させようとする交流電力から電磁誘導によって発生する磁界と、それによって発生する誘導起電力と誘導電流により導体内部で渦電流が発生することで現われる現象です。この渦電流の向きは導体の中心部分では電流を阻止する方向に、導体の表面付近では電流を煽動する方向となるため表皮効果が発生します。

まず、交流の電流が導体内部に流れると電磁誘導によってアンペールの法則(右ネジの法則)による向きの磁場(磁界)が上記の図の様に発生します。するとその発生した磁場によって、今度はレンツの法則によってその磁場の発生を抑制する方向に電流が発生します。

この電流は磁場の向きと直交する方向に磁界に対し「くさり」の様な位置関係で電流が発生します。この電流はその、くさりの様な位置で回転する方向に渦の様に発生することから渦電流と呼ばれています。図をみて頂くとわかるかと思うのですが、導体の中心部も表面も通過させようとする電流は一定なのですが、

導体の表面では流そうとしている電流と、その電流によって発生する渦電流の向きが同じ方向を向いていることが分かります。しかし導体の中心部分では、流そうとしている電流と発生した渦電流の向きが逆になっていて、流そうとしている電流が阻止されていることがわかるかと思います。

この様に、交流電流で発生する渦電流によって導体中心部分ほど、流そうとする電流が阻止されて、逆に表面程電流をより流そうとする作用が働きます。また周波数が高くなるほど誘導される電流が大きくなり、阻止しようとする働きと、流そうとする働きがそれぞれ大きくなりより表面にだけ電流が流れる様になります。

表皮深さと表皮の計算方法

表皮効果を考慮した抵抗の計算など、この現象を計算するためには表皮効果によってどの程度まで表面に電流がながれるかを定量的に定義しておかなければ表現することが難しい為、どの程度の位置まで電流がながれるかを定義した範囲を表皮深さとよんでいます。

この範囲のことを表皮深さとよび、導体の表面からどの程度の位置まで電流がながれるかを定義しています。これは外部から入ってくる電磁波が金属内に存在する深さから定義されており、一番電流が流れる表面の電流に対して、1/e(約0.37倍)に減衰する表面からの深さのことを指しています。この1/e=1/(自然対数の底)のことですがなぜこの式になるかはまた別の機会に説明します。

表皮深さは下記の計算式で求めることができます。

$$d = \sqrt{{1 \over \pi \times f \times \mu \times \sigma}}$$
$$\sigma = {1 \over \rho}$$
変数内容単位
\(d\)表皮深さ[\(m\)]
\(f\)周波数[\(Hz\)]
\(\mu\)透磁率(導体\(≒1\))[\(H/m\)]
\(\sigma\)導電率[\(S/m\)]
\(\rho\)電気抵抗率[\(Ω・m\)]

また上記でふれた様にこの表皮深さは電流の流れる範囲であるのと同時に、ある材質に対して入射した磁界や電界が1/e(約0.37倍)まで減衰する深さ、つまりで電磁波が存在できる範囲でもあります。このことより表皮深さは高周波電力の表皮効果の計算の他、ノイズを防ぐ為のシールドの材質や厚さの検討を行う場合にも有効な計算となります。

工学の基礎 電気磁気学(修訂版)

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